いってみた、やってみた

いってみた、やってみた

へなちょこ男が世界に挑む奮闘記(そして負けます)

就活がうまくいかないときに思い出したある映画の言葉

紹介する映画

ある家族が、娘の「リトル・ミス・サンシャイン」コンテスト出場のため遥かな道のりを西へ西へと進む。

全く一筋縄ではいかない家族それぞれの抱える事情が、明るく優しいタッチで描かれる。見終わった後に不思議な希望が湧いてくる作品。

 
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人と比べられる苦しみ

私は就活でそれなりに苦労したクチだ。

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面接に臨むとき、作りたくもない笑顔を作る。

説明会では面白くもない話題に大ウケする。

知り合いたくもない他の就活生と世間話をする。

人生で「成し遂げたこと」「困難を乗り越えた経験」「目標に向かって全力で取り組んだこと」なんてあっただろうか。

聞かれれば聞かれるほど深まる自分への疑念。

何をやっても表面的で嘘っぽく、自分が薄っぺらい人間のように思えてきてしまった。

二次面接、三次面接、最終面接、内定、とだんだんと手ごたえをつかみ始める周囲の学生と自分とを比べ、劣等感だけが膨らみ心が荒んできていた。

何が楽しくて、こんなつらい思いをしなければならないのか。

何で人と比べられなければならないのか。

そんなことを考えていた時だった。

急にポッとアイデアが浮かんだ。

就活はミスコンだ。

 

人生はミスコンだ

"Life is one f***ing beauty contest after another." 人生は次から次へと続くクソったれなミスコンだ。

私が就活はミスコンだと思った背景には、映画リトル・ミス・サンシャインのこの名言がある。

ミスコンとはご存知の通り、女性がその美を競うコンテストのことだ。

審査員から、水着姿やドレス姿、インタビューなどをチェックされ、優勝者を決める一連のプロセスが世界中で開催されている。

とりわけ、アメリカはミスコン大国である。

衝撃的なのは、わずか5歳や6歳の子供ですら参加するミスコンが多数存在する点だ。

このような低年齢向けのミスコンは少しエクストリームな例だが(子供をミスコン漬けにする親のことをpagent momと揶揄したりする)、アメリカ社会の中では競争に向けて努力をすること、また、競争で勝ち抜くことに対して強いあこがれがあることは間違いがない。

アメリカのような超競争社会では、人々は常に人と競い合い、自分の価値を売り出していかなければあっという間に「負け犬」の烙印を押されてしまうというプレッシャーがあるのだ。

リトル・ミス・サンシャイン

リトル・ミス・サンシャインはそんなミスコンに7歳の娘が出場することになったある一家の物語である。

ニューメキシコ州からカリフォルニア州まで遥かな道のりを、古びたフォルクスワーゲンに乗って一家総出で行く。

しかし、家族それぞれがいわゆる「負け犬」と言われてもおかしくないような事情を抱えており、深い苦悩の中にある。

道中のドタバタを乗り越え、たどり着いた「リトル・ミス・サンシャイン」。一家に待ち受ける運命とは?

この映画を就活中に思い出したのは、私自身がとんでもない負け犬のように感じていたからであった。

何をやってもうまくいかないのではないか。

もう全て諦めてしまいたい。

そんな時に思い出したのが、「人生はミスコン」というこの映画の言葉だったのだ。

どうせ

アメリカは超競争社会だと述べたが、日本とて例外ではない。

受験だって、就職だって、結婚だって、人々はみんな競い合っている。

「みんな違ってみんないい」なんていう言葉が紡ぎだされた国とは思えないくらい現実は厳しいように感じる。

大企業じゃないから負け犬、給料が安いから負け犬、名声が低いから負け犬、口には出さないまでも就活にかかるプレッシャーはかなり大きい。

私が就活で感じた苦しみは、人生の中でつづく「次から次へと続くミスコン」の一つでしかないのである。

この企業は書類落ち、この企業は水着審査落ち、この企業ではドレス審査落ち、、、、勝利を得るために必死に笑顔を振りまく私はまさにミスコン参加者そのものであった。

そして、自分がミスコンの中にいるということを認識し始めると、なんだか自分の悩みがしょうもなく思えてきたのである。

ミスコンに参加していながら、自分が審査を受けることに憤る人はいない。

私は、自分から就活というミスコンに参加していながら、自分が審査を受けることに憤っていた。

審査を受けたくなければ、ミスコンに参加しなければいいのである。

そんなに人と比べられたくないのなら、就活をしなければいいのだ。

(自ら進んでとまでは言わないものの)就活というミスコンに参加することを決めてしまった以上は、審査員に自分の魅力を存分に伝えなければたんなる時間の浪費である。

そんなことを考え始めていたら、逆にこのバカバカしいミスコンの機会を存分に戦ってやろうという気持ちが湧いてきたのだ。

もちろん、認識が変わったからすべてうまくいったなどという単純な話ではない。

しかし、就活というものに対してなんだか重くつらく苦しいイメージだけを持っていたのが、これはあくまでミスコンだと考え始めるとかなり気楽になったことは確かだ。

後で知ったのだが、嫌な体験を受け流すための方法としてこのように認識を変化させることは心理学的にも極めて有効であるようだ。

リトル・ミス・サンシャインでの言葉は、就活に悩む私の大きなブレイクスルーのきっかけとなったのだ。

最後に、もう一つ映画中の言葉を紹介したい。

A real loser is someone who's so afraid of not winning, they don't even try.

本当の負け犬っていうのは、勝てないことをあまりに恐れる人のことだ。彼らは挑戦すらしない。

就活はつらいが、つらいと思っている時点で負け犬ではない。

なぜなら本当の負け犬は就活に挑戦すらしていないからだ。

 
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