バングラデシュ入国ってどんな感じ?
赤黒い大地と蚊
さかのぼること2015年、私は中国東方航空、昆明発ダッカ行きの便にいた。
中国での激しい乗り換えを経て、やっと見えてきた赤黒い大地。
ついにやってきてしまった、バングラデシュ。
バングラデシュといえば、何が浮かぶだろうか。
正直なところ、バングラデシュといえばといってパッと出てくるキーワードはあまりないのではないだろうか。
場所を説明するときですらインドの隣、とかミャンマーの隣とかなんだか他力本願みたいな紹介をされることが多い。
果たして、バングラデシュはどんな国なのか。
期待と不安が入り混じる。
不安が増大するにつれ、期待がどんどんとどこかへ追いやられたころ、ちょうどバングラデシュの首都ダッカ、シャージャラル国際空港に到着したのであった。
まず、飛行機を降りた時点で感じるうだるような熱気。
日本ではまだまだ肌寒い3月上旬であったが、ダッカは日本の真夏を思わせる蒸し暑さであった。
熱帯の国なので、蚊には気をつけようと思っていたのだが、空港にいる時点でだいぶ刺されてしまった。
デング熱、マラリア、考えたくもない病名が脳内に浮かんでは消える。
私を刺した蚊がクリーンであることをただ祈るだけだった。
降り立って入国審査に向かうまでの通路で、突然後ろから男性にガッと体を掴まれた。
ヤバい!
空港到着早々襲われるとは、なんて危ない国に来てしまったんだ!
そう焦る私に彼は一言
ウェルカムトゥーバングラデシュ!!
彼の声は蚊がいっぱいの赤黒い大地にこだまするのであった。
やる気あるのか入国審査
とても思い出したくないようなトイレで用事を済ませたあと、
やっとの思いで、入国審査場にまでたどり着いた。
私は事前にビザを取っていたので、アライバルビザ不要の列に並んでいた。
私の前には十数人ほどの列が2列ほど、そこまで混雑している様子でもなかったので、すぐに終わるだろうと感じた。
しかし、待っても待っても進まない。
後からアライバルビザの列に並んでいた欧米人は気が付くと入国していた。
ビザを日本で事前に取得した意味とは何だったのであろうか。
唖然である。
愚かにも私は目黒にあった旧バングラデシュ大使館に2回も赴いている。
1回目は11時30分の申請受付時間に15分遅刻し、見事失敗。
2回目は11時28分くらいに到着し、書類を提出。
見事、パスポートコピーを忘れ、近くのコンビニでコピーをするよう冷たくバングラデシュ人職員に言い放たれた。
はじめてのバングラデシュ人とのコンタクトはこんな殺伐としたものだったのだ。
受付終了まで残り2分しかなかったが、間に合わなかったらどうするのかと考える暇もなくコピーに向かい、泣きそうになりながら再び戻ったときには11時35分。
またまた申請に失敗、、という事態だけは防ごうと、息を必要以上にゼイゼイいわせ職員の方を見つめると、さすがに(嫌な顔をしながら)書類を受け取ってくれた。
そんな苦労をして手に入れたバングラデシュビザ。
それなのに、今やビザなし組の方が明らかに得をしているじゃないか*1
何故、入国審査にこんな時間がかかるのか。
入国審査官とGrand Prince Hotel
列を進むにつれて、入国審査に時間がかかる理由が理解できた。
入国審査官である。
隣の審査官とおしゃべりをしてみたり、退席してみたり、入国審査をやる気があるようには全く思えないスピード感なのだ。
もっとも、私含め外国人は、あくまでバングラデシュに入れてもらう立場。
文句があろうとも審査官になかなか強く言い出すことはできないのであった。
ついに私の番が来た。
私はビザだって持っているし、何より世界でも最高レベルの日本パスポート所持者だ。
さあ、どんどんと手続きを進めてくれと思っていたのだが。
入国審査官は突如覚醒したのか、私の書類に書かれた全ての項目を一つ一つ丁寧に読みだした。
そして私に質問するのである。
父親の名前は?(入国カードに父親の名前を書く欄があったのだ。まさにイスラム圏という感じだ。)
どうやって来た?
そして、一番トリッキーだったのはどこに泊まるか?であった。
ダッカで私が泊まる予定だったホテルはGrand Prince Hotelというたいそうな名前のところであった。
もちろん有名なホテルで入国審査官も知っているだろうと自信満々に答える。
しかし、何度名前を繰り返しても悲しいくらい通じない。
意味のないやり取りが永久に繰り返されるかと思った矢先、私とやりとりするのに飽きたのか突如ゴーサインが出る。
入国の時点でインパクト大である。
バングラデシュ人おそるべし。
ちなみに実際にGrand Prince Hotelに到着して気づいたが、ホテルは明らかに名前負けしている。
ダッカ市内に入場
マリオカート バングラデシュカップ
空港を出ると、既にカオスが展開されている。
永久に鳴りやまないクラクション。
人、人、人の波と車。
教習所の段階で苦労した私などがとても運転できるコンディションではない。
ほとんどのクルマには外付けバンパーがついていてほぼ車間距離0で走行する。
道路はボコボコ、通行人が突然出現、道路にバナナや甲羅が置いてあればマリオカートそのものである。
噂のGrandでPrinceなHotelにやっと到着したときには見事通行人と衝突して止まったのであった。
何を隠そう、バングラデシュは、都市国家や小さい島国等を除いて最も人口密度が高い国と言われている。
入国した瞬間から存分にそのポテンシャルを見せつけてくるバングラデシュに私は圧倒されっぱなしなのであった。